流行性嘔吐下痢症
(1)流行性嘔吐下痢症
- 毎年のように、秋の終わりごろから初冬にかけて、多数の幼児や学童に嘔吐と腹痛と下痢が起こることがあります。
- これを流行性嘔吐下痢症とよんでいます。
(2)原因
- 食中毒と間違われることがありますが、原因は食べ物とは関係がなく、ウィルスであるといわれています。
- 乳児の冬の下痢症(白色便性下痢症)とこの流行性嘔吐下痢症は、同じロッタウィルスで起こることもあります。
- しかし、詳しいことはまだわかっていないことが沢山あります。
- そのうえ、なぜ季節と関係が深いのかもわかっていません。
(3)症状
- 熱は出ることもありますが、出ないこともあって決まっていません。
- 夕方から夜中にかけて嘔吐と腹痛が起こることが多いようです。
- 腹痛は上腹部に激しい痛みがあり、その部分を押すととくに痛がります。
- たいていは嘔吐が半日くらいでおさまりますが、吐き気や腹痛と食欲が無いのは2〜3日続きます。
- 下痢は、ふつう嘔吐よりも少し遅れて始まります。
- 幼児は下痢しやすく、学童になると下痢が少ないのが一般的傾向です。
(4)診断
- この病気の診断を決める方法はありませんので、様子を見て決める以外に方法はありません。
- ただ間違えやすいのは、虫垂炎です。
- 虫垂炎でも腹痛や嘔吐で始まりますが、それがだんだんに激しくなり、初めは痛みが上腹部ですが、その後は右の下腹部を押すと痛がるようになりますから、半日か1日くらい様子を見て区別することが大切です。
- 自家中毒症と区別することも困難ですが、自家中毒症は何回も繰り返しますから、これまでに診断がついているかどうかで区別します。
- ただこの自家中毒と流行性嘔吐下痢の2つの病気は、治療法が似ていますから、間違えてもそれほど大きな問題になることはありません。
- 食中毒の場合には、同じ食べ物を食べた人だけが、いっせいに同じように吐いたり、腹痛があったり、下痢をします。
- 流行性嘔吐下痢症では、多くの人が同時に吐いたり、腹痛を起こさずに、少しずつ時間が違っていますし、同じ食べ物を食べなくても症状が起こります。
- しかし、同じ小学校の生徒に流行すると区別するのが難しくなります。
- そのようなときには、吐いたものや便を検査して、食中毒かどうかを決めることがあります。
(5)予防
- この病気にならないように予防する方法は、現在のところ見つかっていません。
- せいぜい手洗い、うがいをよくする程度のことしかありません。
(6)治療
- この病気はウイルスによるものですから、特別な治療法はありません。
- ただ脱水症にならないように注意することが大切です。
- 嘔吐と腹痛が激しいのは、大体半日くらいですから、学童のように大きな小児では、その間は口からは何も与えずに安静にします。
- 吐き気が減ってきたら水分を少しづつ飲ませ、その後は、牛乳を飲ませたりおかゆを食べさせます。
- それでよくなったら、下痢の回数や程度に応じて食べ物を制限します。
- 大体3〜4日くらいで下痢も止まります。
- 乳児や小さな幼児では、消化不良症の治療のように、吐き気がある間も少しずつ水分を飲ませ、脱水症にならないように気をつけます。
- 年齢が小さいほど下痢がひどくなることが多いので、水分の補給と食事制限には気をつけます。
- 嘔吐が長く続いたり、年齢が小さい場合には、嘔吐をとめる薬や注射が必要となります。
- それでも止まらず脱水症を起こしたときには、点滴による輸液が必要となります。
(7)予後
- 脱水症を起こさないように気をつけていれば、後遺症もなく全例が数日以内によくなります。
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